親子旅行記

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[感想]保育園を呼ぶ声が聞こえる〜権利を主張することについて考えさせられる

娘も昨年の4月から保育園に通っているが、認可には入れなかった。読売新聞社の調査で今年4月からの認可保育施設への入所を決める一次選考で、待機児童の多い全国の78自治体では、4人に1人が入所を認められなかったそうだ。保育園は人生で最初に親以外の人たちと関わりを持つ場所で本来明るい場所であるべきだが、待機児童であったり、無認可保育園の死亡事故であったり、何かと暗いニュースが報じられている。日本の保育園とイギリスの保育園の違いや、これからの保育園についてのあり方などについて書かれた「保育園を呼ぶ声が聞こえる」を読んだので感想を書こうと思う。

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 まず、この本で大きく取り上げられているのが、日本の保育には教育としての一貫した理念がないという。特に待機児童問題を解消するために、質を落としてでも保育園を作ることに意識が行きがちになってしまう。鉄道の高架下だったり、産廃施設の近くだったり。しかし、そのような場所では、子どもの安全を守るため、保育士にとっても結果的に負担増になってしまう。また、働きながら子どもを育てるために、とにかくどこか空いている保育園に入れなくてはという親側の事情もある。

 

これについては私も考えさせられることが多い。保育園は子どもがサービスの良し悪しを口に出して評価するわけではないので、子どものことは置き去りにされがちである。保活という言葉があるが、保育園に入れたら終わりではなく、入った後もどのようなことを保育園でやっているのか関心を持ったり、子どもにとってより良い環境を求めていきたいと思う。

 

また、後半は論点が変わり権利について書かれている。興味深いのはイギリスでは権利について教えることがカリキュラムに入っていて、すべての生徒に教えなければならないことだ。保育園でも権利の教育があるそうで、ただ小さい子どもに権利と言葉で教えても分からないので、自分の考えを言えるように目指しているという。例えば色んな顔を見せてどの顔が笑っているのかを当てさせたり、笑い顔を作るような演劇的なプログラムも取り入れている。

 

小さな子どもであっても1人の人間として扱っているところが日本と大きな違いである。日本ではどちらかというと我慢や忍耐の方が重んじられ、権利というと、あの人はいつも権利ばかり主張してとマイナスの意味合いで使われることが多く、厄介がられることが多い。しかし、権利を主張することは生きていく上でも必要なスキルであるのは間違いないので、これを保育園で教えることには意義のあることであると思う。大人も育休の権利はあるのに取りづらかったり、残業をせざるを得なかったり、結局は子どもに負担がかかってしまうので、難しいけれど権利を主張することは大切なのであろう。子どもがいる人もいない人も権利についての部分はとても参考になるのではないかと思う。

 

日本の保育園の欠点ばかりが書かれているわけではなく、イギリスと違ってお金持ちの子も貧しい子も一緒の保育園に通っているという平等性については賞賛しているので、よくある日本批判的なものはなく嫌悪感を抱かずに読むことができる。

 

保育園を呼ぶ声が聞こえる

猪熊弘子、國分功一郎ブレイディみかこ

太田出版

http://www.ohtabooks.com/publish/2017/06/19182446.html