【感想】バッタを倒しにアフリカへ~バッタのプレゼン・広報の方法は参考になるよ
好きなことをして食べて行くのは難しい。子どもの頃からの夢をかなえて、職業にし稼いでいける人はほんの一握りなのであろう。
著者・前野ウルド浩太郎氏は「バッタに食べられたい」という一風変わった子どもの頃からの夢をかなえるため、昆虫学者になった。ポスドクの就職状況は厳しく、バッタの研究となると日本では需要がない。しかし、アフリカではバッタの大量発生に悩まされており、自身の夢をかなえるため、単身サハラ砂漠に乗り込み、バッタと大人の事情を相手に死闘を繰り広げる。
私はバッタと縁もゆかりもないが、この本はバッタが特に好きでなくても、ユーモアに溢れ表現豊かな文章と、ドラマチックなストーリー、そして以下のとおり様々な観点からとても参考になり、お勧めするよ(昆虫の写真も載っているので、本当に苦手な人は写真はスルーしよう。)学生や仕事で行き詰まっている人に特にオススメだ。
⑴マイナーな分野に興味を持ってもらうこと
バッタに興味を持っている人はごく少数である。では、バッタ研究の資金を稼ぐためにはどうしたらよいか。著者は自分自身が有名になることで、幅広い層に興味をもってもらえると考えた。しかし、研究者が研究以外のことをしていると、学会関係者たちからは煙たがられてしまうリスクがある。それでも、リスクを覚悟に、サイン会を兼ねたトークショーや、ニコニコ超会議の出演、雑誌「プレジデント」の執筆など請け負う。
異分野の人に惹きつけられたとき、その人の仕事内容ではなく、その人自身に興味を持つ場合が多いと著者も実感している。
ジャンルは違うけれどさかなクンもあの独特のキャラクターに興味を惹かれたなぁ。確かに納得できる。
⑵伝え方を工夫する
バッタについてプレゼンする場合、見る人によっては魅力的な面を秘めており、見せ方を工夫するだけで、社会に重要性をアピールできるという。堅苦しすぎてもダメだし、ゆるすぎてもダメ。不特定多数を相手には映画、漫画、テレビなど、常日頃から慣れているもので、ストーリー性をもった熱血ドキュメンタリータッチに仕立てた。
これは仕事でプレゼンする際にとても役立つ方法である。
最後に、夢を叶えるためには恥ずかしいけれど夢について語るといいという著者のメッセージは心に響くものがある。読んだ後は清々しい気分になれること間違いなし。もちろん昆虫好きでなくても、読み物として面白いので一押しである。